選択の時代 リーダーの条件
―高い目標に向けほとばしる情熱―

- 日本代表チームのトルシエ監督を指導者としてどう見ますか。
「監督をサポートする立場にあり、評価する立場にないが、(昨夏の解任騒動を振り返って)日本サッカーを世界レベルに近づける高い目標を掲げ、確固たる指導理念を持ち、(雇い主の協会から批判を受けても)ぐいぐい押していく姿勢は刺激になった」
- 経験からみてスポーツ指導者に欠かせない資質はなんですか。
「一つに絞ると説明能力を挙げたい。指導者なら専門知識は持っている。それをいかに伝えるか、だ。高いところからあれこれガミガミ言ってもその場は従っても身に付かない。選手に納得、消化させ、あくまで主体的に吸収させることが基本になる。」
- スポーツ界の優れた指導者に共通することはなんですか。
「ヤマハ発動機でスカウトをしている時、全国をくまなく歩いた。多彩、多才な監督に接しさせてもらい、いろいろと学んだが、間違いなく共通しているのは、チームを強くしたい、選手とチームを少しでも向上させたいと、打ち込む、ほとばしるような情熱だろう。人間は弱い。できればのんびりとしたい。家族との時間も持ちたい。向上心も二、三日は持続するが四日目は『まあ、いっか』と流れる。それを持続させるのは情熱だ。」
- 山本さんの情熱を持続させるものはなんですか。
「高い目標。日本代表チームを、いつか国際大会でいつも優勝戦に食い込むレベルまで引き上げること。目標が決まるとそのために今、何に取り組むかがはっきりする。日本代表チームも、その下の年齢層も着実に力を付けている。このまま行けば日本サッカーは必ず世界のトップにたどり着くと信念をもってやっている。」
- サッカーから日本の国全体に目を転じると。
「この国がどこに向かうのか、目標がない。目標がはっきりしていれば、今、たとえ不況で苦しくても、消費税を引き上げるような苦しい政策でも、国民はきっとその先に希望を抱いて受け入れる。サッカー界が目標を持って世界レベルに挑戦するように、国民に明確なビジョンを示す指導者を待ちたい。」
(聞き手・高瀬直樹) 2001年4月22日 静岡新聞掲載