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2002年6月 PRESIDENT 2002.6.17号掲載記事

特別企画 手は時を映し、人生を語る!

山本昌邦さんの手

手を観察して人の仕事や暮らし向きを推理したのは名探偵ホームズだった。人の手は思いのほか多くのことを語る。人生が集約されているといっては大げさに過ぎようか。他人の手を不躾に見る機会などそうあるものではないから、この人のこの手を見、想像力を働かせて、その人の過ごしてきた時間を推理するのはなかなかに興味深い。というわけで、いま旬の人六人の手を連載で紹介する。第一回目はサッカー日本代表チームのコーチ、山本昌邦さんの手。


やまもとまさくに
1958年生まれ。静岡県沼津市出身。日大三島高校、国士舘大学を経てヤマハ発動機(ジュビロ磐田の前身)の主力選手として活躍。30歳の時コーチに転身。98年日本代表コーチに就任、現在に至る。
自身のHP(http://www.masakuni-yamamoto.com)でコーチ理論を執筆中。ビジネスのマネージメント理論としても読める。

本号が発売されて数日後には、いよいよワールドカップの幕が切って落とされる。日本チームの活躍が大いに期待されるが、その時ベンチには山本さんの姿が必ずあるだろう。

この数年、急速に進歩したかに見える日本チームだが、これには長い道程が背景にあった。一九九五年のワールドユース(U−20)選手権で初めてアジア予選を突破し、世界大会に出場、ようやく世界の頂点との距離が測れるポジションを獲得する。それ以来の経験と明確な目標設定の積み上げが、結果として目に見える日本チームの躍進につながっていったのだ。裏方としてそれを支えてきたキーマンが山本コーチだ。

「代表メンバーに入る選手達はユース、オリンピックとずーっと一緒にやってきた連中。気心も知れ、性格も全部わかっています」と山本さんは力強く言う。ワールドカップを前にして、選手とコーチの信頼関係は盤石だ。

しっかりしたガタイからもっと骨太のゴツゴツしている手を想像していたが、指がほっそり長いきれいな手である。山本さんは親分肌と研究者の緻密さを併せ持つサッカー指導者と評されるが、なるほど手は繊細で知的な表情をしている。

「サッカーですから手は基本的に使いませんからね。でも、ゲームで一点に密集してしまうような時、背中の敵をブロックしつつ、微妙な動きを捉えます。手は目を補うセンサーの役割をしているんです。そのことからすると、サッカー選手の手は繊細で鋭敏でないといけませんね」。納得の手である。

サッカーはもとより時間にコンシャスなスポーツだが、試合終了前の数分は攻めるにしろ守るにしろ勝負どころ。これほど凝縮された時間を意識することもない。選手への指示ももっとも緊張するという。山本さんの愛用腕時計はスイスの高級時計、IWCの「GSTクロノ・オートマティック」。クロノグラフはトレーニングには不可欠。チタン製。軽さ、堅牢さ、そして上品さが気に入っているとか。52万5000円

PRESIDENT 2002.6.17号掲載