経験は余裕に変わる
アテネへの準備
Jリーグの試合に出ていない選手もいるので、個々の能力をしっかり把握したい。あくまでアテネに向けた準備。結果にとらわれず、チームづくりをきちっとしていきたい。ほかの国は日本でいえば小野、高原、稲本の世代(U−23)が出てくる。格上と戦うことで選手の能力や足りない部分が見えてくる。ギリギリのところで1歩踏み出せるか、1センチ先に届くかは厳しい状況を経験しなければ生まれない。メダル自体には価値がないんです。その過程で得る1日1日の重みが、後で大きな意味を持ってくる。
W杯のような、大きな大会が普通と思えるようにならないと、いい成績は挙げられない。僕自身、W杯初戦のベルギー戦は普段通りゲームに入れた。もっとプレッシャーを感じた試合は、ほかにもあった。アトランタ五輪アジア予選準決勝サウジアラビア戦で、勝てば28年ぶりに出場できるという状況で、背負っているものの大きさを感じて胸が締め付けられた。前園の2得点で勝ったけれど、世界に初めて出ていけることの重みを感じた。そういう積み重ねが大事。経験豊かな選手は物おじしない。中田英が「ハカン・シュキュールなんて大したことない」と言えば、DFラインもそんな気になるから。
ビリヤードや卓球を眺めていた。近くで体調を感じ取れるし、こいつとこいつの人間関係は太いものがあるなとか、よく分かる。コーヒーをすすりながらサッカー以外の話もした。長い間で積み上げた信頼関係が僕の財産。
失敗しても次の課題への失敗なら1歩前進。そこで褒めれば新しいヒントが見えてくる。怒ったら若い選手はやらなくなっちゃう。本当に厳しいことを言う時は、部屋で1対1で話す。どれだけ選手を変えられるか。いくら説明がうまくても、説得できなければ意味がない。
得たものは限りなく多い。僕には向いてないというやり方もたくさんあった。でも選手が追い込まれて反発する力を見て、彼らのすごさを感じた。
山本 鹿島で結果を出してきた。学べるものはたくさんある。僕はコーチとしてベストの仕事をする。
代表に30〜40%を送り込むには高いハードル。だからこそ、やりがいがある。アテネは五輪代表と来年の世界ユースを目指すU−19世代が融合したチームになる。期待しているし、楽しみですね。
(聞き手 岡山俊明、田口潤) 2002年8月07日 日刊スポーツ新聞掲載