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2002年8月7日 日刊スポーツ新聞

経験は余裕に変わる

アテネへの準備


'04年アテネ五輪の目標をシドニー五輪のベスト8以上に置く山本監督はアジア大会を、そのスタート地点で、選手を見極める場所と位置づける。

Jリーグの試合に出ていない選手もいるので、個々の能力をしっかり把握したい。あくまでアテネに向けた準備。結果にとらわれず、チームづくりをきちっとしていきたい。ほかの国は日本でいえば小野、高原、稲本の世代(U−23)が出てくる。格上と戦うことで選手の能力や足りない部分が見えてくる。ギリギリのところで1歩踏み出せるか、1センチ先に届くかは厳しい状況を経験しなければ生まれない。メダル自体には価値がないんです。その過程で得る1日1日の重みが、後で大きな意味を持ってくる。

経験に勝るものはない。やがてそれは試合での好判断につながるという

W杯のような、大きな大会が普通と思えるようにならないと、いい成績は挙げられない。僕自身、W杯初戦のベルギー戦は普段通りゲームに入れた。もっとプレッシャーを感じた試合は、ほかにもあった。アトランタ五輪アジア予選準決勝サウジアラビア戦で、勝てば28年ぶりに出場できるという状況で、背負っているものの大きさを感じて胸が締め付けられた。前園の2得点で勝ったけれど、世界に初めて出ていけることの重みを感じた。そういう積み重ねが大事。経験豊かな選手は物おじしない。中田英が「ハカン・シュキュールなんて大したことない」と言えば、DFラインもそんな気になるから。

ビリヤードや卓球を眺めていた。近くで体調を感じ取れるし、こいつとこいつの人間関係は太いものがあるなとか、よく分かる。コーヒーをすすりながらサッカー以外の話もした。長い間で積み上げた信頼関係が僕の財産。

25歳で指導者を志しただけあって、いかに選手を伸ばし、スポイルしないかを念頭に置く。人前で怒鳴りつけるのではなく、より効果的な方法で諭す。

失敗しても次の課題への失敗なら1歩前進。そこで褒めれば新しいヒントが見えてくる。怒ったら若い選手はやらなくなっちゃう。本当に厳しいことを言う時は、部屋で1対1で話す。どれだけ選手を変えられるか。いくら説明がうまくても、説得できなければ意味がない。

トルシエ監督の下で約4年間コーチを務めた。手を振り上げることがあった監督に、時には疑問も感じながら、自分の考え方を確立していった。

得たものは限りなく多い。僕には向いてないというやり方もたくさんあった。でも選手が追い込まれて反発する力を見て、彼らのすごさを感じた。

ブラジルでジーコ監督と3日間、話し合った。

山本 鹿島で結果を出してきた。学べるものはたくさんある。僕はコーチとしてベストの仕事をする。

'02年W杯の代表は平均24歳と若かった。06年ドイツ大会は、このメンバーが基盤になる。五輪代表からいかに多くの選手を送り込めるか。手腕が問われる。

代表に30〜40%を送り込むには高いハードル。だからこそ、やりがいがある。アテネは五輪代表と来年の世界ユースを目指すU−19世代が融合したチームになる。期待しているし、楽しみですね。

(聞き手 岡山俊明、田口潤) 2002年8月07日 日刊スポーツ新聞掲載