預かった"宝物" 個性活かし育成
- 先のW杯日本代表のトルシエ監督の下、四年間で得たものも多いのでは。
「仏協会とのパイプが太くなり、ベストメンバーの仏代表と三回の試合ができた。イタリアをはじめ世界のトップ10に入るようなチームと何試合もできた。世界のトップと戦わなければ世界との距離は分からない。数多くの経験が非常に大きな財産となった」
- コーチとしての苦労を聞かせてください。
「苦労だと感じたことはなかった。監督として結果を出さなければならないトルシエと立場はまったく違った。しかし、何としても勝たせたかった。代表の二十三人を小さいときから育ててきた多くの指導者の代表として、宝物を預かっているような気持ちだった」
- 今回は監督。コーチと役割は異なりますね。
「まったく違う仕事だが、情熱をもって選手に接していく。皆試合に出してあげたいがポジションは十一しかない。選手と私のベストな選択は異なる。つらい決断をしなくてはいけない厳しさもあるが、先を見てやっていく。選手も理解してくれると思う。摩擦が起きることも覚悟しているが、多くの選手が将来、上の代表に入った時に分かってくれれば十分」
- ジーコジャパンはどんなチームになりますか。
「まだどういうグループをつくっていくのか分からないが、二〇〇六年を目指すチームは今回の代表と違った選考となる。ジーコのサッカーを見る目は違う。いろいろ吸収できると思うと楽しみ」
- フル代表コーチとの兼ね合いはどうですか。
「ジーコが考えるいい選手の基準は違うだろう。代表として大事なこと、重要視される点をU−21(二十一歳以下)の選手に伝えれば、フル代表に上がったときに戸惑わない。それが 持ちする最大の利点。パイプ役は大きな役割だ」
- 選手育成には指導者の質向上も必要になりますね。
「指導者のレベルは格段に上がっている。ただ、情報がフィードバックされすぎて 一された選手ばかりになる恐れもある。個々の特徴を生かした育成が大切。いろんなタイプの選手が育ってほしい。そのためにはいろんなタイプの指導者が必要。オリジナリティー、個性を感じ指導していくことが大事で、サッカー自体が進歩するように指導者も進歩していかなければいけない」
- W杯開催で県内も大いに盛り上がりました。どう生かすべきですか。
「W杯で四つのキャンプ地全部に出場国が来た。そんな地域は全国でどこにもない。物が残ったということより、そこに携わった多くの人たちがさらに高いレベルでサッカーにかかわってくれれば、また次のチームが訪れ、いろんな交流が生まれる。それは大きな財産だ」
(聞き手・運動部 望月章弘) 2002年8月16日 静岡新聞掲載