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J1第7節 2011年4月24日 山形 0-0 C大阪@NDスタ

C大阪はボールをつないで試合を支配していたが、最後の最後で崩しきれなかった。

C大阪の良さはグループで崩し、シュートが1タッチになるようなシーンを作れるところ。この日はそれがあまり見られなかった。

FWホドリゴ・ピンパォンと2列目の3人の関係が、まだ成熟していない印象を受けた

AFCチャンピオンズリーグ グループリーグ 2011年4月20日 G大阪 3-1 済州(韓国)@万博

宇佐美に代わって途中出場した武井がボランチに入り、ボランチの遠藤が1列上がるという選択肢もある中、スペースを埋めている済州の戦術をベンチ、選手が理解していた。

遠藤はボランチの低い位置からフレッシュな武井らに好パスを供給し、ゴールに結びつけた。

ACL1次リーグの規約では勝ち点が並んだ場合、当該チーム同士の成績が優先される。勝ち点6で並んだ済州に対し3―1で勝利したことでG大阪の上位が決まった。

実に意味がある3点目だった

AFCチャンピオンズリーグ グループリーグ 2011年4月12日 名古屋 4-0 アルアイン(UAE)@瑞穂陸

アルアインが1人退場する時間帯まで、チャンスの数は相手の方が多かった。それでも効果的に点を取って、勝つのが名古屋だ。

前半は影を潜めたサイドチェンジが、後半の途中から出てきた。

震災の影響もある中、アジア王者から世界王者へという高い志で日本を引っ張ってもらいたい

AFCチャンピオンズリーグ グループリーグ 2011年4月6日 水原三星(韓国) 1-1 鹿島@水原

震災の影響で、鹿島のホームタウンもダメージがある。そうした状況にもかかわらず、いい準備ができ、スキのない戦いぶりを見せた。失点の後にすぐ1点を返したのは大きかった。得点シーンのDF岩政とDF中田の集中力は素晴らしかった。

後半30分あたりまでは水原三星の守備の厳しさがあり、中盤でリズムをとれる時間が少なく、持ち味が出せなかった。良い時はサイドバックが一度、ボランチにボールを預けて、タイミング良く前に出ていく。両サイドが効果的に攻撃に加わると、安定感が出る。小笠原を自由にするためには、もう少し新井場、アレックスがボールを受け、サイドでタメが欲しかった。

本山が入ったあたりからペナルティーエリア前の相手ブロックの間でボールを受けるシーンが増え、全体的にDFラインの背後への崩しが効果的になった。

残りの15分間は相手を上回る運動量。コンディションも良かったし、統一感があって、気持ちが伝わってきた。追いついての引き分けは今後の戦いにつながる。

J1第1節 2011年3月5日 G大阪 2-1 C大阪@万博

G大阪の遠藤が、さすが日本代表という存在感を見せつけた。ゴールシーンはMF宇佐美、FWアドリアーノに相手が引きつけられ、ここぞというところで逆サイドを上がってきてからのミドル弾だった。やはり経験の豊富さから、試合の流れを読む力がある。

日本代表としてアジア杯に参加した影響で、チームに合流して約2週間。序盤は新加入のFWアドリアーノとコンビが合わないシーンもあった。だが、試合の中で徐々に合わせてきた。PKを失敗したが、それでも失敗を引きずらず、メンタル的に崩れない安定感がある。ACLから中3日の試合で体はキツイだろうが、試合を読む力、周りを生かす力は落ちないということだ。フィジカルが万全ではないなりに、現時点での最大限のものを出してきた。やはり代表にこの男は欠かせない。

AFCチャンピオンズリーグ グループリーグ 2011年3月2日 C大阪 2-1 アレマ(インドネシア)@長居

C大阪は昨季からFWアドリアーノ、MF家長、香川ら攻撃的な選手が多く移籍した。その中で新外国人のFWホドリゴ・ピンパォンが2点取ったのは今季に向けて、1つの形が見えたといっていい。2点目のFKはスリッピーなグラウンドの影響で簡単なボールではなかったが、見事なボールタッチでコースを変えた。彼の良さはフットサルで鍛えたゴール前の繊細なボールタッチだ。

だが、ゲーム内容としては格下のアレマに苦戦した。要因はビルドアップの精度と、ピッチを3分割した最前部で3人目の動き、1タッチを使うなど連動性があまりなく、決定機を作り出せなかったことだ。また、攻撃の組み立てがMFマルチネス頼みというところが少し気になる。彼を生かす組み立てができれば、攻撃にさらに厚みが出る。

それらがかみ合えば、乾、ピンパォンを生かした意外性のある創造的なフィニッシュの形が見える。それこそがC大阪のスタイルではないか。

AFCチャンピオンズリーグ グループリーグ 2011年3月1日 G大阪5-1メルボルン(オーストラリア)@万博

G大阪はシーズン前にMF明神の手術、MF橋本の負傷などで大事なポジションを欠いた。アジア杯に出場した日本代表MF遠藤の合流も遅れた。中心になる選手が欠けていたにもかかわらず、うまく仕上げてきたのはさすがだ。

これまでのG大阪はパスをつないで崩すスタイルだったが、今季はそれに加え、サイドのドリブルでの崩しと、2トップだけでフィニッシュに持っていく強さがある。カウンターの怖さもあり、攻撃のバリエーションがふくらんだといえるだろう。

あとは、引かれて守備の強い相手と戦った時に、FWアドリアーノ、イ・グノの2トップにボールがきっちり収まるかどうか。そこが収まれば、今年のG大阪の破壊力は間違いなく脅威だ。

アジアカップ 決勝 2011年1月29日 1-0 オーストラリア@ドーハ

岩政投入が、1つのポイントだ。システムを変えず、岩政を入れて、今野を左サイドにスライドした。長身選手の多いオーストラリア相手に高さが欲しかったというところ。これは当たった。それにより、長友が左サイドで1列前にあがり、最後にいい仕事をした。長友のスプリント力、タフさが終盤に生きた。

初戦のヨルダン戦はあまり流れが良くなかった。その時点では選手の個性、チームの中の信頼関係などよくつかみきれていなかった。そうした初戦にもかかわらず、2戦目も先発メンバーを変えなかった。そこが今大会のポイントだ。監督の選手への信頼が、チームの結束力を生みだした。

1つ指摘しなければいけないのは、やはり準決勝の韓国戦は120分で勝ちきらなければいけなかった。今回のPK勝ちは勝ちではなく、引き分け。日本は韓国に05年8月の東アジア選手権以来5年半も勝っていない。そこは日本の力を見せつけなきゃいけなかった。

ただ、監督にとっては、選手の特徴、個性、能力が見えた大会。6試合フルに戦えたことは監督自身の財産になるだろう。

アジアカップ 準決勝 2011年1月25日 日本 2-2(PK3-0) 韓国@ドーハ

日本はPK戦の末に勝ったが、本当は120分で勝ちきらなければいけない試合だ。

延長前半は、勝ち越し点を取った後も守備で前からプレスをかけ、ボールをゴール前に入れさせていなかった。延長後半からFW前田に代え、DF伊野波を投入。4―5―1から5―3―2のような布陣になった。すると前のプレスがかからなくなり、サイドから自由にボールが日本ゴール前に入るようになった。5分なら耐えられるが、15分は持たなかった。システムを変えず、DF内田の位置に伊野波を入れるのも一つの手ではなかったか。伊野波がDFラインの右に入れば、左からのクロスに対し中央で高さが出る。前からプレスにもいける。前でボールが取れればカウンターにもなったはずだ。

ただ、結果的にはトーナメントなので勝つことが最も重要。そういう意味では1人ひとりの勝負強さがあった。オーストラリアは両ペナルティーエリア内の質が高い。ボールを回しても崩しきれない。自陣ゴール前をどうリスクマネジメントし、相手ゴールをどうこじあけるかがカギだ。

アジアカップ 準々決勝 2011年1月21日 日本 3-2 カタール@ドーハ

ラスト15分の戦い方で、日本の軸を再認識する一戦だった。1人少なくなって、迎えた終盤だったが、長谷部はグッと前に出てプレスをかけた。人数は少ないが、前に行かなきゃいけないという気持ちがあった。決勝点のシーンでも長谷部は遠藤の横パスを1タッチで香川に入れている。これもヴォルフスブルクなどの経験に裏打ちされたものだ。豊富な経験のある遠藤のプレーぶりも素晴らしかった。長谷部、遠藤の2人の経験がこのチームを支えていた。

決勝点を奪った伊野波は点を取るまでのシーンでいくつかミスが目立った。だが、「なんとかしなきゃ」という気持ちがゴールにつながった。こうしたものは次につながる。10人になっても勝ちにいく日本の底力があったと言っていい。