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アジアカップ 決勝 2011年1月29日 1-0 オーストラリア@ドーハ

岩政投入が、1つのポイントだ。システムを変えず、岩政を入れて、今野を左サイドにスライドした。長身選手の多いオーストラリア相手に高さが欲しかったというところ。これは当たった。それにより、長友が左サイドで1列前にあがり、最後にいい仕事をした。長友のスプリント力、タフさが終盤に生きた。

初戦のヨルダン戦はあまり流れが良くなかった。その時点では選手の個性、チームの中の信頼関係などよくつかみきれていなかった。そうした初戦にもかかわらず、2戦目も先発メンバーを変えなかった。そこが今大会のポイントだ。監督の選手への信頼が、チームの結束力を生みだした。

1つ指摘しなければいけないのは、やはり準決勝の韓国戦は120分で勝ちきらなければいけなかった。今回のPK勝ちは勝ちではなく、引き分け。日本は韓国に05年8月の東アジア選手権以来5年半も勝っていない。そこは日本の力を見せつけなきゃいけなかった。

ただ、監督にとっては、選手の特徴、個性、能力が見えた大会。6試合フルに戦えたことは監督自身の財産になるだろう。

アジアカップ 準決勝 2011年1月25日 日本 2-2(PK3-0) 韓国@ドーハ

日本はPK戦の末に勝ったが、本当は120分で勝ちきらなければいけない試合だ。

延長前半は、勝ち越し点を取った後も守備で前からプレスをかけ、ボールをゴール前に入れさせていなかった。延長後半からFW前田に代え、DF伊野波を投入。4―5―1から5―3―2のような布陣になった。すると前のプレスがかからなくなり、サイドから自由にボールが日本ゴール前に入るようになった。5分なら耐えられるが、15分は持たなかった。システムを変えず、DF内田の位置に伊野波を入れるのも一つの手ではなかったか。伊野波がDFラインの右に入れば、左からのクロスに対し中央で高さが出る。前からプレスにもいける。前でボールが取れればカウンターにもなったはずだ。

ただ、結果的にはトーナメントなので勝つことが最も重要。そういう意味では1人ひとりの勝負強さがあった。オーストラリアは両ペナルティーエリア内の質が高い。ボールを回しても崩しきれない。自陣ゴール前をどうリスクマネジメントし、相手ゴールをどうこじあけるかがカギだ。

アジアカップ 準々決勝 2011年1月21日 日本 3-2 カタール@ドーハ

ラスト15分の戦い方で、日本の軸を再認識する一戦だった。1人少なくなって、迎えた終盤だったが、長谷部はグッと前に出てプレスをかけた。人数は少ないが、前に行かなきゃいけないという気持ちがあった。決勝点のシーンでも長谷部は遠藤の横パスを1タッチで香川に入れている。これもヴォルフスブルクなどの経験に裏打ちされたものだ。豊富な経験のある遠藤のプレーぶりも素晴らしかった。長谷部、遠藤の2人の経験がこのチームを支えていた。

決勝点を奪った伊野波は点を取るまでのシーンでいくつかミスが目立った。だが、「なんとかしなきゃ」という気持ちがゴールにつながった。こうしたものは次につながる。10人になっても勝ちにいく日本の底力があったと言っていい。

アジアカップ グループリーグ第3戦 2011年1月17日 日本 5-0 サウジアラビア@ドーハ

Jリーグで得点王争いをしている2人が結果を出した。日本の未来は明るいと言っていいだろう。特に岡崎は動きにアクションがあり、相手を引っ張ることができる。裏へ、裏へと飛び出していくことで、相手がリアクションする。その空いたスペースで2列目の選手が前向きにボールを持ち、楽にプレーできた。

やはり先制点が大きかった。サウジとしては先制点を取られて、出はなをくじかれ、バラバラになった。いい時間に1点を奪うことができた。立ち上がりの集中力とたたみかける感じが良かった。5点はそれぞれの持ち味が出たもの。何よりも今大会初先発の岡崎がハットトリックしたことでチーム全体に勢いがつく。

準々決勝からはトーナメント。別の大会という気持ちで仕切り直してやらなければならない。開催国のカタールと戦うということで、本当のアウェーを体感できる。そうした環境の中でレフェリーの判定もアウェーになる。自分たちの持っているものを冷静に出し切れるかというところがカギになる。選手個々のたくましさやDFラインの力が問われる一戦だ。

アジアカップ グループリーグ第2戦 2011年1月13日 日本 2-1 シリア@ドーハ

ザッケローニ監督が先発メンバーを変えなかったことが勝利につながった。シリア戦の先発は1―1のドローに終わった第1戦のヨルダン戦と同じだった。それによって、選手が安心し、自分たちでどうやったらうまくいくかを考え、コンビネーションも改善され、良いパフォーマンスにつながった。これまで、選手は監督に言われたことを忠実にこなそうとしていた。だが、監督に言われた以上のことをできるようになり、オリジナリティーが出てきた。自発的に成熟するチャンスを与え、選手がそれに応えた。

主審の判定を含めて、不運なところもあったが、それで逆に火がついて、自分たちのエネルギーに変えた。残り15分の戦いは力の差が表れるところ。勝ち点3をもぎとったのはとてつもなく大きい。ヨルダン戦のロスタイムの同点弾からこの流れはつながっている。メンタリティーの強さ、たくましさを感じた。

次に対戦するサウジアラビアは敗退が決まったとはいえ、優勝経験国の意地がある。もちろん簡単な試合にはならない。プレッシャーがない分、伸び伸び感が怖い。日本は先制点を取って、いいスタートを切れるかがカギになるだろう。

アジアカップ グループリーグ第1戦 2011年1月9日 日本 1-1 ヨルダン@ドーハ

初の公式戦となるザッケローニ監督にとって、相手のモチベーションの高さ、プレーの質の高さは意外だったかもしれない。ヨルダンは、フィジカルコンタクトの厳しさに加え、守備が組織されていた。こんなにファイトしてくるんだと思う部分もあったかもしれない。相手のエネルギーには驚いたところもあるだろう。さらに先制点を奪われたことによって、誤算が生じた。

今回のメンバーはFWが前田、岡崎、李の3人しかいない。追う展開になったとき、手の打ちようがあまりなかった。李、岡崎を投入した後、攻め手がなく藤本の起用は後半45分。どうやったら交代枠の最後のひとつを効果的に使い、流れを変えられるかというのを考える必要がある。

日程の問題もあり、試合までの準備の時間があまりなかった。カタールで合流した選手もいて、個々の状態の見極めができていない状態で迎えた初戦だった。ただ、1試合プレーしたことで選手のコンディションや相性などいろいろなことが見えてきたはず。シリア戦以降に期待したい。