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2011年3月8日付コラム「山本昌邦の世界基準」

日本代表のMF香川真司(ドルトムント)がなぜドイツで通用するか。その秘密は「3S」にある。「3S」とは3種類のスピードのことで(1)思考と判断(2)ボール(3)フィジカルだ。

(1)はいろいろなアイデア、意外性を瞬時に駆使して、相手の裏を突くこと。プレッシャーのかかる試合、練習になればなるほどその重要性が高まる。

(2)は1つはパス。サッカーは基本的にはパスゲーム。キックのスピードが速ければ、受けた人が余裕のある状況でプレーできる。もう1つは処理能力の速さだ。パスを受け、ワンタッチで処理できるところをツータッチすれば、自分もパスの受け手も相手からのプレッシャーが増える。

(3)は走る、止まる、方向を変える敏しょう性などのこと。緩急やターンのスピードなども大切。コンタクトプレーで相手よりも一瞬先に体を入れることも大事だ。

香川は身体的に恵まれているわけではない。だが、「3S」をミックスして自分の特徴を生かし、世界最強の組織的な守備を誇るといわれるブンデスリーガで渡り合っている。香川のプレーを見ればいかに3Sが重要か理解できるだろう。経験があるから余裕と自信がみなぎっている。厳しいプレッシャーの中で、それをハイプレッシャーと感じない良い習慣が身についている。

世界を目指す子どもたち、指導者は常に現場に行って、ピッチでスピード感を感じることが重要だ。それは教科書では学べないものだ。「世界との差」を詰めるために、「3S」は重要なキーワードとなるだろう。