2002/11/11
広い視野を確保した後方の選手が前方の選手に指示を出すことで有効なプレーを作る
このレポートの感想を送る 「後ろの声は神の声」の意味である。
チームを有機的に機能させるには広い視野を持った選手が効果的なコーチングを行う必要がある。
スピード化が図られ、一瞬にして状況が変化し、めまぐるしくゲームの流れが変わる現代サッカーにあっては、チームメイトに指示を出すコーチングのタイミングも重要な能力である。

年令に関係なく後方からの指示には従わなければならない。
そこに年功序列はありえない。

たとえ若いゴールキーパーであっても、ベテラン ディフェンダーに厳しい指示を出すことはごくあたりまえの事。それはチームを勝利に近づける為の大切な仕事であり、能力の一部なのです。

常に視野の不足を周り(視野の広い選手)からのタイミングのよい指示により補い、有効な動きを連動させていくことが求められている現代サッカー。
瞬時に変化する状況を正確に把握し指示する為に言葉の共通化なども必要ですし、何より次に起こり得る状況を予測できるだけの経験も積み上げていかなければなりません。

例えば、ディフェンスラインとGKの間に入ってくるハイスピードなクロスボールに対しては、自分が飛び出す、ディフェンダーに任せる、クリアする、ヘディングする…などの選択肢があるわけですが、状況に応じた最適な選択肢を瞬時に判断し、指示を出さなければなりません。机上で考えれば簡単なことでも状況が瞬間的に変化する動きの中での判断は難しいものです。

広い視野を確保している選手が指示を出すことは理解できても、実戦で活かせるか否かは判断のスピードがカギを握りそうです。
このスピードを追求することが実戦で活きるトレーニングといえるでしょう。
2002/11/05
組織力はチーム戦術と個々の創造力の調和である 
このレポートの感想を送る  現代社会では、要求されたことはパーフェクトにこなせる能力の高い人間が多い。要するに、言われたことはキチッとこなせる指示待ち人間タイプの増加である。

 サッカーはチームスポーツであり、組織として力があり、ゲームの中でどう機能しているかが重要なのである。その為には、当然、個々の能力が高くなれば相乗効果により組織力も大きくなるので、個々の能力や創造力の高い選手をどう育てていくかという事が大切である。

 試合の中で発揮されるパフォーマンスは、個人に置き換えた時に50%のチーム戦術と50%の個々の創造力(能力)に分けられる。チームから与えられている50%の戦術は、チームの基本的な決まりとして100%実行されなければならない。その上で、50%の個々の創造的なプレーを発揮する事が、チームの流れに乗った個性的なプレーであり、価値の高いプレーである。
 どんなに個々の能力が素晴らしいものであっても、チーム戦術を守れない選手はピッチに立つ事はできないのである。

トレーニングで与えられたチームの決まり
   
チーム戦術 50%
個々の創造力(能力) 50%

ゲームの中での個のパフォーマンス 100%

 個々人の創造力を育てる為に、答えだけを教える指導ではなく、個々の創造力、判断力というもの、要するに考える力を育てる事を優先した指導を今後もしていきたい。時間がかかる指導ではありますが、アテネの頂点からドイツへ選手を送り届ける為に・・・。
2002/10/29
大きな可能性を勝ち取った中国戦(アジア大会)
このレポートの感想を送る  プラス2試合の真剣勝負。計6試合の厳しい試合を勝ち取った中国戦は、経験と自信が不足しているチームにとっては大きな1勝であります。連戦の疲労などは実際に経験した者にしかわからない。1試合のゲームでの疲れは、Jリーグでも充分経験する事は可能であるが、中1日、2日といったスケジュールでのコンディショニングの難しさ、きつさというものは、公式の国際大会でないと追い込まれた状態にはならないので経験できないものです。  

 サッカーはかけ算のスポーツです。1試合目10点、2試合目10点、3試合目10点、10×10×10=1000。1000点を持って戦った中国でゲームをおとせば、10×10×10×0=0 で、チームの評価は何もなかったでしょう。上にいけばいくほど、持ち点が多くなる分失うものも大きくなるので、1試合の重みが増してきます。そのようなプレッシャーを乗り越える事が、次への自信になっていきます。ファイナリストにしかわからない重みがあったはずです。  
 結果を追求する中で、選手がどれだけ成長できたか。計り知れない。
2002/10/26
通過点の銀メダル(アジア大会)
このレポートの感想を送る  釜山アジア大会、ご声援ありがとうございます。 選手は、大きな自信を得て、たくましく成長しつつあると思います。親善試合では、味わえない厳しい戦いを、6試合フルに経験できた事は、アテネに向けて、大きな財産になります。
 サッカーは瞬時に状況が変化する為に、常に様々な判断力が問われる難しいスポーツです。選手は、すぐに答えをほしがりますし、答えを教えることは簡単です。指示待ち人間が増えた現代社会では、このような傾向は顕著です。
 9月中旬の磐田との「0対7」の試合では、これまで、多くの教育や海外遠征で得た物が通じるのか、また頭で答を知っていても、判断するのに時間がかかってしまっては、実際のゲームでは、生きてこない。レベルの高い厳しい相手との戦いの中で、個々の能力、判断力といったものを分析する為には、どうしても早い段階でチェックしておきたい事でした。常に自分で考え判断し、素早く行動に移せる能力を、ピッチの中でも、外でも、育てていく必要があると考えています。様々な方法で、答えを教えるのではなく、考える力を育てるトレーニングやアドバイスを、していきたいと思います。そういう能力がワールドカップでは必要なものだからです。

 今回のアジア大会では、サポーティング、スタッフの多くが、ワールドカップで共に仕事をしたグループで、世界基準を熟知しており、それぞれの仕事は、もちろん、選手の教育、環境作り、大会を戦い抜く為の経験、などがチームに大きな自信と余裕を与えてくれました。これら、チームを支えるスタッフのレベルアップ、ワールドクラスの経験が日本サッカーの財産になってきました。
 これから更に大きな嵐に、遭遇するでしょうが、立ち向う準備は、アジア大会を通してできあがりました。
2002/09/18
オープンスキルとクローズドスキル
このレポートの感想を送る 子供はマネの天才ですから、コーチが見せたプレーをマネすることはすぐにできるようになるでしょう。その時、プレーのスピードは考慮する必要ありません。体が大きくなり、パワーがつけばスピードアップは可能になるからです。大切なのは正確にできることです。
判断を伴わないクローズドスキルは、ゴールデンエイジといわれる10〜12歳(個人差はあります)の頃が学習に最適な時期です。この時期、神経系の発達が大人の90%以上に達しており、特に吸収力が高いので様々なスキルを習得するのに理想的です。
一度身についた技術は、神経回路が形成され、トレーニングを休んでも低下しないので、大人になってからも活かせる恒久的なものになります。是非ゴールデンエイジの、体のバランスがよい時期(第二次成長期前)に多くの技術を身につけてほしいと思います。
試合では、こうして身につけた技術を状況の変化に対応して、いかに適切なタイミングで駆使するか、またどの技術を用いるかといった判断力が問われます。この判断を伴う技術がオープンスキルです。
いかにしてクローズドスキルからオープンスキルへ移行させていくか、またどのようにして与える負荷を増していくか、といったことが指導者の重要なポイントとなります。
素晴らしい技術を持っているのにのに試合では…という選手にならない為に。
パスの強弱、タイミング、方向などはクローズドスキルでは判断する必要がありません。事前に決まっているからです。
どんなに優れた技術、能力を持っていても、正確に適切なタイミングで活用することができなければ宝の持ちぐされになってしまいます。
実戦で重要なのはオープンスキルであり、このレベルアップが重要なのです。
2002/09/09
夢を追いかけて
このレポートの感想を送る ワールドカップを手にすることは、遠い道のりの果てにある誰もが夢見る目標です。しかし、追い求める夢があるということは本当に幸せなことです。一生をかけて追い求めた末に実現できるかもしれないし、叶わず夢のまま終わるのかもしれません。いつの日か日本代表がワールドカップを手にする為に、ひとつひとつ新しい歴史を作り、その過程を大切にして、次の世代へと継承し活かして行くことが重要でしょう。本当に大きな価値ある夢です。選手は段階的に成長していくものです。選手の成長なくしてチーム力の向上は図れませんから、長期的視野をもって逆算しながら、“いま何をすべきか”を考えていきたいと思います。高い山に登れば、突然の風雨、希薄な酸素といった厳しい環境が待っています。悪条件下でもプレーの質を下げない事が重要になってきます。オリンピック、ワールドカップは常に厳しい環境の中で行われる大会なのです。シーズンオフに行われる大会では、ベストなピッチコンディション、気象条件は望めません。

時間問題も含めて
2004年8月に行われるアテネに向けて、時差の問題も含めこれらの対策を十分に練っておくことは大きなアドバンテージになるでしょう。選手を育成する過程においては、悪条件に負けないメンタリティが大切になります。フィジカルコンディションと共に、強いメンタリティは夢を実現する為の必要条件です。
2002/08/27
みんなの力が1つにならないと、かなわぬ夢がある。
このレポートの感想を送る 高い目標を達成する為には、周りの人々の協力なくしてたどり着けない事も多い。

ワールドカップでチャンピオンになるには、選手、スタッフなどチームだけの力では、無理だと思います。今回、本当にこの事実を体で感じられた事は今後のチームづくりの参考としていきたい。例えば、サポーターの力、サッカー協会、ボランテイアの方々、選手の家族、友人、恩師の先生、様々な方々がチームにそして選手にパワーを与えてくれたように思います。苦しんでいる選手に、前へ進む力をくれた先生の存在など、大勢の皆さんに支えられていました。私自身もそうです。日本の宝物である選手を預かっていましたが、彼らを育てた多くの指導者がいたわけで指導者を代表してワールドカップの間預かっていただけです。これら指導者の心が一つになったときのパワーはすごいことでしょう。

メデイアの方々には多いに感謝したい。それはまず、多くの情報とテレビを通して、新聞記事で、そして電話で直接、と日本での開催と言う事もあり、それぞれの情報も沢山集まると客観性が出てきて正しい方向が見えてきます。感謝します。メデイアの方々の後ろには何千万人という視聴者がいるわけですから、是非正しい分析をして頂いて、みんなの力が一つにまとまり、より高い視点でサッカーを分析していく方が増えれば、成長する為の我慢の時の難しさも理解される時が来るでしょう。

日本のサポーターだけでなく、国民全体が一つになるくらいの環境が出来た時、世界の視点は見えてくるのだと思います。
2002/08/09
代表チームとクラブチーム
このレポートの感想を送る Jリーグの発足と共に、日本サッカーが飛躍的にレベルアップしてきた事は、間違いない事実です。選手は、サッカーを中心にした生活が可能になり、集中してトレーニングに臨める環境が整いました。各クラブに世界のトップレベルのプレーヤーが加入し魅力ある試合が増加するとともに、サポーターも増加し、プレーヤーはモチベーションを上げていきました。
クラブは魅力あるサッカーをし、常に4万人、5万人という観客がスタジアムを訪れれば、経営的にも安定し、必ずしも優勝しなくても、クラブ経営的には大きな問題はないかもしれません。(サポーターや選手は勝ちたいと想いますが)
各クラブのコーチやスタッフは、代表選手を育てる事で日本サッカーに貢献ができます。これは日本代表、日本サッカーにとって大きな仕事です。日本代表を作っているのは、選手の成長という視点で見ていくと、各クラブのスタッフです。この様な代表とクラブのコミュニケーションが大切なのだと考えます。11人の代表選手を育てたら、そのクラブのスタッフが代表スタッフになってもおかしくはないでしょう。

代表チームは、ワールドカップチャンピオンという高い頂点がある以上、常に上を目指して勝たなければなりません。
今回はベスト16でひき返す事になりましたが、そこまでの過程での1日1日には大きな価値がありました。この経験は大きな財産となりました。次は、また違う登山ルートになるかもわかりませんが、ワールドカップという山頂へ向かう時に必ずいきてきます。

代表とクラブの協力、連携を図れば日本サッカーの発展は間違いありません。

クラブで継続的に育てながら、代表へつなげてほしい。
クラブと代表チームの協力なくして、ワールドカップでの頂点にはたどり着けません。

クラブと共に世界を目指します。
2002/07/30
日本代表コーチ兼五輪代表監督として
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今日7月30日、日本代表コーチ兼五輪代表監督として、日本サッカー協会と契約致しました。

2004年8月に開催されるアテネオリンピック、2004年アジアカップ、2006年ドイツワールドカップなど、ビッグな大会で前回以上の成績を目標に新しい歴史を作ります。特にオリンピックチームでは、監督として選手を育てながら結果を出し、本番での厳しい経験を1試合でも多くさせることで、2006年ワールドカップでは30〜40%の選手がオリンピックチームから押し上がるようにしていきたいと思います。

2002年ワールドカップでの勢いを大切にしながら充実した仕事をして、更なる日本サッカーのレベルに貢献していきます。世界に胸を張って、誇れる日本代表を目指します。

皆さんのご支援、よろしくお願い致します。
みんなの力が1つにならないと叶わぬ夢、それがワールドカップチャンピオンです。

撮影:寺野典子氏

2002/07/16
歴史を作ったチーム、日本代表2002
このレポートの感想を送る サポーターの皆さん、代表チームへの大きく、力強い御支援、本当にありがとうございます。

2002年、ホストカントリーとしての記念すべきワールドカップで、皆さんと共に、初の勝点1、初勝利、決勝トーナメント進出という、新しい歴史を築き上げたことに、喜びと、誇りを持ちたいと思います。

このベスト16という結果は、我々が4年間で作り上げたものではなく、Jリーグの発足、ユース年代の世界レベルでの経験と結果、指導者の育成など、10年以上の努力と積み上げによってもたらされたものであり、日本サッカー界の勝利だと思います。
しかし、世界のサッカーの進歩は早く、我々が立ち止まっていたら、あっという間に追い越されてしまうでしょう。日本サッカーの目指す方向性は、間違ってはいないということを実証できました。さらに成長の速度を上げながら、世界のトップレベルに肩を並べ、将来、ワールドカップ・トロフィーを手にするときがくるまで、走りつづけることが大切です。

選手個々には、95、97、99年、ワールドユースでのベスト8以上、96年アトランタオリンピック、2000年シドニーオリンピックと、国際大会で勝ち越しており、今回のワールドカップの16強は満足できるものではなかったはずです。韓国がベスト4へ進出したことも含め、悔しい思いを胸に、次のワールドカップまでの1日1日を充実させて欲しいと思います。

個々がレベルアップして強くなれば、組織も大きく強くなり、ニッポンは強いチームになる。

選手1人1人が、自分の力を信じて、前へ進むことが重要です。
ワールドカップ・トロフィーを手にしている、大きな夢を持って・・・。
2002/06/26
子供の頃からの夢
このレポートの感想を送る 小学校の頃の卒業文集に、将来の夢は日本リーグ(当時のJリーグ)の強いチームに入って、日本代表選手としてオリンピックに出ることだと書きました。
当時は、大きすぎる、叶わぬ夢かもしれないと思いながら、志だけは大きかった。この目標が、自分自身、当時考えついた一番大きな夢だったと思います。

ワールドカップの本当のすごさを知った今、当時の夢の延長線上にあるもっと大きなものに、挑戦している自分がいます。無我夢中で走ってきた4年間、数多くの経験をしてきました。苦しかったこと、楽しかったこと。過去の出来事が走馬灯のように思い出されます。充実した4年間の経験が、自分を成長させてくれているのだと思います。そう信じています。

ワールドカップのすごさと同時に、責任のとてつもない大きさも、教えてもらいました。大会中に、1戦1戦、自信をつけ、伸びていく選手を見ている楽しさ、充実感は、経験してみなければ分からりません。
ワールドカップは、何も教えなくても、人を育ててくれる夢舞台。
たくさんの子供達に、大きな夢を持ってもらったら最高です。

多くの国民の皆様に御支援していただき、ありがとうございます。
ボランティアで様々なサポートをしていただいた方々にも、お礼申し上げます。
スタジアムに横断幕を出してくださった後援会の皆様、戦う力をいただきました。

ありがとうございます。
2002/06/07
全ゴールの35%は、リスタートから
このレポートの感想を送る いよいよワールドカップ開幕です。

現代のサッカーでは、スペースや時間が減少し、選手は常にプレッシャーを受けた中での厳しいプレーが要求されます。そんな中で、フリーキック・コーナーキック・ペナルティーキック・スローイン・キックオフなど、リスタートからのプレーは、攻撃側にとって数少ない、ボールを自由に蹴ることのできる大きなチャンスの場面です。

ワールドカップクラスの大会では、全ゴールの35%はこのリスタートから生まれます。必然的に、リスタートの攻防は勝敗に大きな影響を与えることになります。リスタートでゴールが奪えれば、試合の流れを変えることができます。またリスタートという武器があれば、相手が不用意なファウルができませんから、ゲーム中、ゴール前でも激しいチャージを受けないで済むかもしれません。チャンスも増えるでしょうし、結果的にも、勝利に一歩近づくことになるでしょう。何より、止まったボールを自由に蹴ることができるリスタートは、コンビネーションを使って相手の裏をつき、常に先手を打てる点で、攻撃側には相当有利になります。今回のワールドカップでも、FKやCKから、数多くのスーパーゴールや、勝負を決めるような価値あるゴールが見られることでしょう。

フリーキックの名手、インサイドキックの面にボールを当てながらインステップの足の振りで蹴ることができる選手は、精度が高いキックができますね。スローVTRでよく観察して、いいところもマネすることも、上達の秘訣だと思います。

毎日、新しい世界のサッカーを見ながら、リスタートの35%の真実を是非、体験してほしい。
それが次のワールドカップへつながればいいですね。
2002/05/30
2002年ワールドカップはゴールが増える?
このレポートの感想を送る 2002年大会は総得点が増えるのではないかと予想しているのですが、どうでしょうか?

得点が増える要因として、まずFIFAのルール改正が上げられます。例えば、ユニホームをひっぱる、後方からのファウル、などの行為に対して厳しい対応が予想されています。FKが増加しゴール前でのチャンスが増えますし、ゴール前でのシーンでも手や腕を使うなどの行為が厳しくジャッジされるので、攻撃側が自由になるケースが増えると予想されます。またオフサイドルールの変更、GKへのバックパス、マルチボールシステムなど、近年FIFAは得点を増やす為と思われる様々なルール改正を実施してきました。これらの変更はインプレー時間を増加させ、実際にプレーする時間が増加したことで当然ゴールシーンも増えます。オフサイドルールもより攻撃側に有利になる変更が実施されてきました。

他にも、ピッチの状態はどこのスタジアムも素晴らしく整備されており最高の状態ですから、ボール処理に時間をとられることがありません。そのため、相手プレッシャーを受けずに次のプレーに移行でき、フィニッシュにつながりやすいという点も、得点の増加が期待できる要因となるでしょう。

また、暑さと湿度の高さが選手へのスタミナを奪うことになり、チームとしてコンパクトなエリアを保てずに(ディフェンスラインの押し上げや、フォワードの戻りなど)スペースが拡大されます。有効なスペースができれば、非常に技術が上がった現代サッカーではミスなくゴールを目指すことが可能になると思います。

この予想が当れば、本当に楽しみの多いワールドカップとなるでしょうが、どうでしょうか?

開幕戦のフランスvsセネガルの審判のレフリングに注目してみたいと思います。
2002/05/18
選手は日本の宝物
このレポートの感想を送る これまでに、ユース、オリンピック代表の仕事を何年も経験してきましたが、その時の若かった選手たちが現在は日本代表選手として、ワールドカップを戦うところまで成長してきています。ユースのスタートの頃には、中学生だった選手もいました。ずっと彼らの成長を見続けてきて思うことは、人間的にも、プレー的にも、本当に大きくなったなぁということです。その選手たちと共に、ワールドカップを戦える幸せを、今はかみしめています。代表チームの9割の選手は、ユースやオリンピックで一緒に世界大会を戦ったメンバーですから、個々の性格や特徴をよく分かっています。また付き合いも長いので、あまり気を使わずに何でも言い合える点は、チームのバランスを保つ上で大きなアドバンテージとなっています。このように、若いときから世界のトップレベルのチームと戦ってきた経験を持っている今回の代表選手は、日本サッカー界の「大切な宝物」です。

世界を相手に戦うギリギリの経験は、誰にでもできるものではありません。2002年のワールドカップでは、彼らにはまた一つ世界の扉を開いて、はばたいていってほしいと思います。その一つ一つのプレーや結果が、日本サッカーの新しい歴史となっていくことでしょう。次の世代の大きな目標となるような結果を残せるよう、全力でがんばります。最近は、選手から学ぶこともありますし、一緒に自分も成長させてもらってるんだなぁと感じます。


サポーターの皆さん。
応援してください。そして、一緒に戦いましょう。
日本人の誇りを持って・・・。

日本の宝物たちが、この大会でさらに磨かれ、世界に向けて大きな輝きを放つ大会にします。
2002/05/13
外からの観察と実体験の差
このレポートの感想を送る 〜スタンドから見えるもの、ロッカールームから見えるもの〜

フランス・イタリア・ブラジル・スペイン・パラグアイ・カメルーン・ナイジェリア・セネガル・ポーランド・コスタリカ・・・・・。ワールドカップ優勝国を筆頭に、FIFAランキングベスト10、アフリカチャンピオンなど、本当の世界のトップチームと、この4年間戦ってきました。これは過去の日本サッカーの歴史にはなかった素晴らしい経験です。

成功体験が翌年の自信となり、次の大会での勝利につながっていきます。

選手にとって、たとえやられることがあっても、試合での結果や一つ一つのプレーの中で相手の特徴や強さや上手さを実体験できることは、外から見ているだけに比べれば大きな違いがあります。また、海外での勝利はピッチの中だけでなく、環境との戦いや様々なストレスなどを乗り越えていく過程も含めて、さらに大きな自信を生みます。

指導者にとっても、『外から見ているだけでレポートを書くこと』と、『ロッカールームや日々のトレーニング・生活の中で、実際に体験したり学んだりしていること』との差は相当大きいものがあります。指導者の方々には是非、実際の現場で多くの事を学んでほしいと思います。

スタンドから心の通わない評価をすることと、ロッカールームで心と心をぶつけ合いながらより良いものを作り上げていくことの違いは、全く異なる質のものです。

ロッカールームでいい仕事ができる指導者は、人間関係、対人関係に強い人です。

コミュニケーション能力は、ロッカールームの中で育つものなのです。
2002/04/30
「名選手、名監督にあらず」、「名選手、名監督に近し」
このレポートの感想を送る ちょうど、この中間ぐらいがいいのではないでしょうか。
名選手は将来指導に必要な要素を高いレベルですでに持っているという点で、いくつかのテーマにおいてアドバンテージを持っています。例えば、デモンストレーションをするときに、高い技術は有効かつ必要なものです。どれが正しい技術で、どれがいいプレーなのか。そこに基準をはっきりさせるだけの質があれば、選手は頭の中に映像としてイメージできるからです。ひとつのプレーを言葉で表現しようとすると、それぞれに感じ方が違ったり、かかる時間が違ったりします。他にも、高いレベルでの実践を経験することによって習得している専門知識もあるでしょう。これらが、「名選手、名監督に近し」の理由です。

しかし、「指導者には、選手を伸ばす責任がある。」
すなわち、指導者は選手が実際にどれほど成長したかで評価されるものです。指導者がどんなにいいプレーをデモンストレーションで見せることができても、専門知識があったとしても、選手がそれをどう吸収し、消化して自分のものにしていったかで、選手のレベルアップにも差が出てくるでしょう。技術や専門知識をどう生かして指導するのかという、指導能力が大切です。どんな名選手であっても、名監督としていい指導をしていくには、選手の目線で課題を見つめ、一人一人の選手と信頼関係を築き上げながら選手を成長させていくテクニックや、能力が必要となるのです。名監督には、選手に説明するだけでなく、説得して、選手自身で考え、技術を自分で身につけていけるようにと教える指導能力が必要なのだと思います。

実践では、定義や定説、方程式があって答えを出すわけではありません。指導者は選手に、実践という応用問題をどうやって解くのかということを教え、選手が自分で考えて行動できるようにするのです。

指導者も、その実践という応用問題に対して、ギリギリの精神状態でどういう判断ができるのかが求められています。ワールドカップでは、予選リーグと決勝トーナメントでその精神状態に大きな差があると思うので、なんとしても予選リーグを突破して、さらにギリギリの世界を経験してみたいと思っています。決勝トーナメントでは、たった一つの小さなプレーが試合の勝敗を分けてしまうような厳しさがあると思います。そしてこのようなギリギリの状態を選手が経験できるかどうかが、その後大きな差になります。

日本サッカーにとって、自分自身にとっても、大きな財産になるような経験がワールドカップを通してできるようがんばります。
2002/04/26
チームの実力は控えの力で決まる
このレポートの感想を送る 控えの選手の層の厚さが、スタメンやゲームに出場している選手にプレッシャーを与えます。
ベンチの選手のモチベーションが低くなると、チーム力も低下します。
チームの実力は、厳しい競争の中から出てくるものだと思います。
スタメンで出場している選手は、ベンチに同じような実力の選手がいたとすると、少しでもプレーの質が落ちたり、チームがうまく機能しなくなったりすると、ポジションを奪われることになる可能性が高くなります。そして、その交代した選手がいいプレーをして自信をつけ、レベルアップしていくと、出場機会さえも失うことになるのです。

このような厳しい環境を作ることがチーム力アップには重要です。
同じトレーニングでも、チーム内の選手の意識の差で、内容に大きな差が出てきます。層の厚いチームでは、試合はもちろん、トレーニングにおいても選手が集中力を保ちながら、質の高いプレーをすることがレベルアップにつながると考えます。

また、レベルの高い選手を多く抱えすぎると、ベンチにいる選手がやる気をなくすような固定した使い方がされ、モチベーションの低下を招きます。すると、競争意識やムードが悪くなって、チーム一丸となって勝利を目指すという事ができない状態が起こったりするのです。

この辺のサジ加減が、指導者の大切な能力だとは思いますが・・・。
2002/04/17
サッカーのタレント発掘
このレポートの感想を送る 選手のパフォーマンスは、適切なトレーニングによって向上し、ある年齢を過ぎると低下します。
早熟型、晩成型などの成長は一様ではありませんが、低年齢であればあるほど、一流選手としてのサッカータレントの可能性は高くなります。
私はタレント発掘の時に、その時点でのパフォーマンスだけでなく、素質に注目します。

(1)基礎運動能力
(2)感覚・技術・センス
(3)人間性・性格

成長過程のどの段階にあるのかを、発育状態と対比しながらデータ化できる部分と、経験から得た指導者のイメージに属するものを生かして、分析し、評価していくことが重要です。
サッカーでは、U−12(12歳以下)、U−14、U−17のナショナルトレセンを実施していますが、その段階で、パフォーマンスの高い選手を集めることではなく、パフォーマンスの背後の素質をよく見極めて集め、世界基準の可能性を評価する必要があると思います。
現在、実施している各世代のナショナルトレセンの選手がどれくらいトップレベル(代表チーム)に到達できるのか、その結果を分析・判断し、方向性を決定していくことも大切であるでしょう。

私は優秀な選手を見続けてきましたが、(3)の人間性・性格では負けず嫌い、人の話を聞ける、などの点は共通して持っていました。負けるのが嫌だから、熱心に研究する。少しでもいいコンディションを保つために自己管理もしっかりするし、食事も、栄養のバランスやタイミングもしっかり研究するなど、いくつかの特徴があります。

発育・発達の各段階において、「変えやすい資質」と「変えにくい資質」が変化するため、それぞれの年代ごとに着眼点が異なるのは当然です。

指導者は、タレント発掘と成長に応じたトレーニングを正しく行うことでいい選手を育てて、いいチームづくりが可能になるでしょう。
2002/04/11
ファンの夢をかなえるのが代表の使命 (50日前)
このレポートの感想を送る 憧れの舞台・ワールドカップ開幕まで50日となってきました。
世界規模の祭典、又は人類の祭典とも呼ばれるサッカーの世界選手権。選手は勿論、家族やサポーター、指導者、メディアの方々のテンションやプレッシャーもワールドカップの本番にはオリンピック、アジアカップ、強化試合とは比べものにならないすごいものになると思います。

オリンピックより大きな「メディア能力」、テレビ放送の総視聴者数は、500億人とも800億人だとも言われています。特に決勝戦は、世界の四分の一から三分の一もの人間(20億人)が同じ瞬間に同じプレーに感嘆の声をあげることになる。このような全世界が注目する大会で、それぞれの国を代表して戦うことができることを誇りにし、世界に強い日本代表をアピールしたい。それはファンの夢でもあるし、日本代表チームの使命だと思っています。

「日本代表は、強くなくてはならない。」

今回のワールドカップでは1億2000万人、ほとんどの日本人がサッカーに触れる機会があるでしょう。 すべての国民に、日本を誇りに思ってもらえるような素晴らしいプレー、強い日本代表を作ります。そして、サポーターの夢をかなえてあげたい。 それは強い日本代表チームを作ることだと考えています。

子供の未来に、大きな夢をプレゼントしたい・・・・。

2002年・6月の記憶と共に。
2002/04/03
規律と自由−50%のコンセプトの上にある自由
このレポートの感想を送る サッカーはチームプレーである以上、コンセプトディシプリンという、戦略・戦術のベースとなる考え方が必要になります。しかしチームの戦術だけをこなす選手は、個性や意外性、創造性、かけひき、勢いなどにおいて相手の能力が上になった局面での打開策なども乏しく、チーム全体が行詰ってしまうでしょう。
チーム内に監督の指示することだけを100%やっていれば、ミスも少なく、怒られることもないから、与えられた槻律や戦術だけを意識してそれが全てと考えてプレーするような状態がおこると、チームの成長は、全く期待できなくなってしまいます。

「100%のチームの戦術は、個人の中では50%にすぎない」

私はチームのコンセプトを理解した上でチームでの役割を100%やりとげながら、個人のいいところ・個性をどう生かしていくかが大切であると考えています。

チームコンセプトは個人の中では50%にすぎず、残りの50%にどう自分のプラス部分を上乗せしてプレーできるかが重要であると思います。指導者は「これだけをやれ」という考え方ではなく、その上に自分の個性を出してアピールしてほしい、というプラス思考的なアプローチが大切です。その結果として、チーム全体が、統一した方向性を持ちながら、個々の能力を生かした魅力あるチームができるのではないでしょうか・・・。

チームのコンセプトや戦術はそのまま同じでも選手を変える事で、それぞれの個性・特性を生かせば、守備的、攻撃的など、様々な変化に富んだチーム作りは可能になります。

現在の代表チームは、このバランスがよくなってきたと感じています。ワールドカップに向けて、さらなる調和を図り、バランスのいいチームになるよう努力していきます。
2002/03/25
優秀な指導者の条件(2)−失敗をほめられる観察力
このレポートの感想を送る 選手は段階的に学習してレベルアップしていくという話は以前にもこのページで述べしましたが、その過程での成功体験をどう活かしていくかも大切な部分であり、選手が正しい方向に進んでいるという事を感じさせてあげる必要があります。
ある高い目標(テーマ)に向かっていく過程での積極的なチャレンジ。それに対して起きた失敗は、次のステップへ上がる為の素晴らしい失敗であるという事を選手に伝えてあげる。

そうすることで次にも失敗を恐れずにトライする事ができます。

繰り返されるトライの中で何か良くなっている点、具体的に例えれば「タイミングのここがいい」「スピードが上がっている」「動きの方向が良くなってきている」など、何か選手の自信になるアプローチができれば信頼関係を構築していくことができます。

指導者と選手の両者がテーマとしている課題に対して、選手が挑戦した結果失敗したとします。これはトレーニングの中で意識しているから出てきた失敗であり、両者にとって大きな前進であると思います。そのタイミングをはずさずにほめる事が大切なのです。

「素晴らしい失敗だ、もっともっとトライしてみよう」

とアドバイスができれば、選手は恐れる事なく前向きにトレーニングに参加して成長していくことでしょう。課題を理解して積極的にチャレンジできるようになった段階で、少しずつヒントやアドバイスを送ることでステップアップは確実にできます。ピントをずらさずに失敗をほめる為には選手の学習の段階を十分に観察する力が必要になります。現場で日々これらの経験を積むことで指導者もまた、その指導能力が育っていくことでしょう。

優秀な指導者は選手を成長させることができる人です。選手は失敗を繰り返し段階的に成長していきます。失敗の中の少しの進歩を的確にほめることができる観察力が優秀な指導者には必要です。
2002/03/16
トレーニングは ステップ バイ ステップ で連続的なもの
このレポートの感想を送る 選手は段階的に学習します。

時には停滞することもあるし、一時的に後退することもあるでしょう。トレーニングの結果として、体に新しい回路が形成される事は、重要な効果です。また、周りからの情報を素早く分析して、頭(頭脳)からからだの各部位へ神経回路を通じて伝達させます。新しい技術を習得する時に、失敗を重ねながら少しずつ神経回路ができあがり、太くなって一つの技術を正確に発揮できるようになっていきます。

「レベルアップの過程で一時的に後退するときもある」

特に難しい技術や戦術に挑戦する過程では、このようなことは当たり前のように起こり得る。そうしたときにどう対応するかまで指導者は計算に入れながら十分な準備をしておくことが重要になってくる。目標とする技術を習得する過程で一つ一つのステップごとに選手を誉めて成功体験をさせることで次の意欲が沸いてくるのではないでしょうか。

指導者は赤ちゃんにサーロインステーキを無理やり食べさせるようなことがあってはいけません。レベルに応じたメニューを作って一歩一歩前進していくことが選手にとって最も大切なことです。

2002/03/09
技術、戦術、体力、とメンタリティーのバランス いい選手の条件−3
このレポートの感想を送る 試合中、ピッチ上で表現されるパフォーマンスは、表の赤い部分、技術や戦術、体力といったものが複合的にからみあって発揮されています。すばらしいスピードを持っていても戦術的なタイミングがよく理解されていなければ、オフサイドトラップにかかったり、ボールを受ける事さえもできないかもしれません。この図のそれぞれの、丸の大きさが技術の部分が大きい選手もあれば、体力の部分が大きい選手もあり、それが個々の特徴になります。

「メンタリティーを高く保てる選手は伸びる」

 技術、戦術、体力は、普通にトレーニングしていれば、翌日急激に落ちる事はないでしょう。しかしメンタリティーは、小さな事がきっかけで、数時間後にゼロになってしまうことがあるようなデリケートなものです。1つのプレーミス、周りの選手との人間関係、指導者の一言、プレッシャーによって自信をなくす事もあるでしょう。また、ピッチの外の問題、学校の成績や彼女との事かもしれません。この難しいメンタリティーを常に100%に保ち続けて、レベルアップの為の努力を続けられる選手は、技術、戦術、体力も少しずつ向上していくことが可能です。メンタリティーを日々充実させ続けることがいい選手の条件です。

中山(ジュビロ)選手は、このメンタリティーの輪が通常の方々より、かなり大きいと思います。ですから常に向上心をもって頑張っていけるのだと思います。そこには必ず目標に向かっての可能性が存在するのでしょう。

2002/03/04
THINKING SPEED & PLAY SPEED
※02/02/10:志村 政司様 からいただいた投稿メールに対する回答です。
このレポートの感想を送る サッカーで一番必要な要素はスピードだと考えています。身につけなければならない能力として重要なのが、判断するスピード、プレーするスピードでしょう。素早く動く為のスピードは勿論、速いボールを蹴る為のスピード(筋力)も必要になります。

プレースピードの中味は大きく分けて、ボールスピードとフィジカルスピードがあります。、コントロールの1つ1つのタッチも自分自身へのパスですから、このときのボールの動かし方のスピードも重要で、プレースピードに繋がるものです。また、攻・守の切り替えを早くする為には、つぎの展開を予測する判断力と供に、動きの方向の変化やスピードの変化といったフィジカル能力も必要になります。

判断の柔軟性や意外性、相手とのかけひきなどサッカーセンスは勿論、いいプレーをする為に重要なファクターであることは間違いありません。現代サッカーではスペースや時間が減少してきています。センスをより生かす上で、あらゆるスピードの向上を図っていく必要があるでしょう。どんなにいい技術や戦術があっても、速いアプローチで厳しいプレスをされるとヘッドダウンして視野が悪くなり、いい判断ができなくなります。これではいいプレーはできません。また、スピードを追求していくと、技術の精度もさらに上げる必要があります。

「判断スピードとプレースピード」

この2つのスピードの向上は、現代サッカーでは最も必要で追い続けなければならないテーマだと考えています。ボール及び人の動きがトップスピードになっても、自らの能力を完全に引き出してパーフェクトなプレーができる選手の育成が、世界で勝ち抜いているチーム作りには欠かせないと思います。日本人の特性を考えると、ボールも人も効率よく連動して素早くボールを動かしていくサッカーが向いているでしょう。

Thinking speed.
Ball speed.
Physical speed.

質問への回答としては、これをバランスよくレベルアップしていくことが大切だと考えています。
2002/03/14
FROM:志村 政司  
お忙しい中、先日の質問に対する回答のメールありがとうございました。御礼申し上げます。内容は私の予想したのとは少し違っていましたが、何回も読む中で、サッカー選手のゲームにおける動きの中のだいじな要素が「THINKING SPEED & PLAY SPEED」であることがよく分かりました。これからの日本代表のゲームを見るときの一つの視点ができたと思います。21日のウクライナ戦では、私なりに三都主アレサンドロ選手や森島選手、高原選手等の動きを今回学んだ視点で見ていきたいと思います。忙しい中のY−REPORTありがとうございます。最新の選手についてのレポートも興味深く読みました。  
2002/02/26
フィジカルテストは試験ではなく情報収集
このレポートの感想を送る 2月8〜13日までの期間を3つのグループに分けて、フィジカル、メディカルの測定を実施しました。この時期のチェックということで、ワールドカップへのサバイバル合宿とか最終試験などという表現をされましたが、ワールドカップまでのコンディションを万全にしていく為の情報収集であって、このテストで選手を評価するものではありません。

「フィジカルテストは試験ではなく、ステップアップする為の情報収集です。」

選手個々にプレースタイルやフィジカルの特徴も違うものを持っています。また、能力を最大限発揮するのにどのようなトレーニングをすれば、より効果が上がるのか、ケガを防ぐのにどの部分の強化が必要なのかなど、現状分析を活かして改善していく事が最も重要なテーマです。すなわち、優劣をつけるものではなく分析に役立てる情報収集であります。

選手はこうしたデータが自分自身にはね返ってきますから100%集中して最大限の値を出す事が重要です。代表の選手クラスはプロとしての自覚もしっかりあるのでこの点は全く問題ないのですが、育成段階の選手には、こうしたデータをフィードバックしながら目標をしっかり持たせ、一歩一歩確実にレベルアップさせてあげることが大切になってくると思います。競争ではなく自分自身をよく知るためのトレーニングだというぐらいの考え方で、過度のプレッシャーをかけないように考えたいものです。

将来は様々なデータが公表できるようにして育成年代選手の目標作りに役立てるようにできたらいいのではないかと思います。また、ワールドクラスの選手が育成年代の時にどういう値だったのかを公表できるようなデータがあればより理解しやすいと思いますので、データの蓄積をしていく必要があります。実際にJリーグのクラブなどではジュニア時からデータを取り始めて、その方向性が出せるようになってきているチームもあります。成長過程の中でより効果があるトレーニングを効率良くしていく為の指標と、ワールドクラスに到達するのに不足しているものが若いうちに分かれば効果は大きいと思います。
2002/02/23
サッカーはかけ算のスポーツ
このレポートの感想を送る サッカーはパスを繋ぐスポーツです。
そして最後に相手ゴールの中にパスを決めれば1点となるわけです。

1×1×1×1×1=1 5本のパスを繋いで最後にゴールにパスを通せば1点となるわけです。
しかし、1×1×0×1×1=0 パスを通していく過程で誰か一人パスミスをすれば、それは相手ボールとなり0からのやり直しとなります。
1+1+1+1+1=5 このように足し算の考え方ではなく、チーム全体が正確なパスを繋ぐことで初めて1点を取ることができます。すなわち、かけ算の考え方です。

チームで10点満点のプレーを3人がして、10×10×10 となった後に0点となるプレーをする選手がいればそれは相手ボールになり、相手ボールを奪うことからやり直すことになります。また、一人がパスを出すまでの過程でのプレーでどんなに素晴らしいフェイントやボールコントロールを見せて何人抜いたとしても最後のパスプレーが相手にいってしまっては何もならない0点のプレーです。

サッカーでは自分がボールを離す時にいかに味方選手に次のプレーを有利にされるようないいパスができるかが、一つのプレーの質として問われてきます。実際のゲームの中ではプレッシャーの中でも味方に有利になる時間やスペースを与えられるようなベストなタイミングのパスが通っていれば徐々にチームとして時間的にゆとりが生まれ、シュートをうつ選手が余裕を持ってゴールにパスをすることができます。

パスでまず考えなければいけないダイレクトプレーの意識(ゴールに直結)ですが、このかけ算の考え方からボールをチームとして失わなければ,チャンスがまだ続いていくということも大切な考え方です。
2002/02/16
ハートは熱く、頭はクールに(100日前)
このレポートの感想を送る 指宿でのキャンプも無事終了し、ワールドカップへの準備も残すところあと100日となりました。サポーターの皆さんにはいつも暖かい応援をしていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。選手がいい緊張感と、リラックスした気持ちをバランスよくキープして自然体でワールドカップに入っていけるよう、全力でチームをサポートしていきたいと思います。これからの1日1日の経験がサポーター、選手、チーム、日本サッカー界、スポーツ界、政界、財界、自分自身にとっても測り知れない大きな刺激を与えてくれるのではないかと、ある意味楽しみにしています。
ドイツは「ゲルマン魂」で過去に何度も難しい試合をひっくり返して優勝してきました。
スペインは「無敵艦隊」と言われています。充実の攻撃陣と選手層、しかし無敵艦隊といえども動かすのは同じ人間です。大丈夫です。
日本には日本刀で艦隊を切り裂く心意気で立ち向かっていく強い精神力があります。世界に日本の「大和魂」を見せたい。

心はホットに熱く、熱く燃えていきたい。
一方で頭はクールに論理的に。

このバランスが重要です。
どんなに優れた戦術や技術、体力があっても、このメンタリティーがなければいいパフォーマンスは期待できません。熱く燃える日本人の心と、冷静な頭であと100日さらにレベルアップして、ワールドカップに臨みたいと思います。
2002/02/12
いまこそドイツ対策
このレポートの感想を送る 次回のワールドカップは、2006年ドイツでの開催が決定しています。いまこそドイツとの太いパイプを作り、4年後に生かせるよう、ピッチ外での関係をより強固なものにしていくチャンスです。ドイツとの交流試合は実現しませんでしたが、協会幹部レベルでのコミュニケーションを深めて、いつでも交流試合が組めるようにしたり、ドイツでキャンプを行うことなども有効なレベルアップに繋がると思いますので、ワールドカップの闘いと並行して次の準備を進めておくこともまた協会の大切な仕事です。

ドイツチームのベースキャンプ地、試合会場の皆さんには是非、ドイツチーム及び関係者を暖かくサポートして頂きたいと思います。ドイツとの良好な関係を築くことが、4年後のワールドカップで大きなアドバンテージになるかもしれません。

日本にとってのワールドカップはまだ始まったばかり。1つずつステップアップしながら世界の最高峰へたどりつきたいです。そのためには、サッカー界全体のレベルアップを念頭に置いたチーム強化、目標設定を行った上での準備を確実に行うことが必要になってくるでしょう。

今の日本代表チームの80~90%は95年、97年、99年のワールドユース、アトランタ、シドニーオリンピック、'98 フランスワールドカップの経験者です。このような質の高い経験を経てたくましくレベルアップしてきました。
世界基準の経験と成功体験を続けてきた結果、選手層も厚くなってきました。

将来を見越した準備をするために。
今こそドイツ対策!
2002/02/08
トルシエも私もプロの指導者
このレポートの感想を送る チームを勝たせる事、これが私たちに共通する最大の目標であり仕事である。

確かに過去にはチーム内のシリアスな状況、その他様々な苦労を何度も経験しましたが、そうした障害を乗り越えて来た自信は非常に大きいものがあります。
アフリカ遠征、ナイジェリアでのワールドユースをはじめとした厳しく質の高い経験が、チームを育て、選手のメンタル面のレベルアップに大いに役立ったのは事実です。2010年のワールドカップがアフリカで開催されることになれば、アフリカ遠征を経験した選手、スタッフにとって大きなアドバンテージとなることは間違いありません。

監督も私もプロの指導者として、それぞれの立場でいい仕事をすることが最も優先されるべきことです。戦術や戦略に私の考えや色が出てしまうようでは選手は迷います。今はコーチとしてワールドカップでの勝利の為、また、その後の日本サッカーの発展につながるような指導を行えるよう集中していきたいと考えています。
また今は、素晴らしい選手達の能力をさらに引き上げ、世界に近づくこと、そして頂点を極める時までのプロセスをより具体的に築きあげる準備をする大切な時期でもあるのです。

勝利という最大の目標に照準を合わせ、選手、スタッフが常に一丸となって突き進むことができる、これがよいチームの条件です。ただ"楽しく仲良く"では結果は伴いません。厳しさの中にも楽しさがある、そんなチーム作りが必要です。メンバーを決める際、監督は決断を迫られることになるのですが、プロとして当然勝つための選択をするでしょう。コーチとしてメンバー23名が、メンタル面、フィジカル面を含めて常にベストなコンディションを保てるようチームを支えることが私の最大の役目です。

日本人として、日本サッカーの発展に寄与し、代表チームを守っていくことも大切な仕事の一つだと考えています。
皆さんが日本代表チームを誇りに思い愛し続けてもらえるよう頑張ります。栄光を目指して・・・
2002/02/01
優秀な指導者になるための条件(1)
このレポートの感想を送る パーソナリティ ・ 専門知識 ・ 指導能力

サッカーの指導者として日頃感じていること、心にとめている私自身の考えを、"パーソナリティ ・ 専門知識 ・ 指導能力"という3つの視点から少し述べてみたいと思います。

指導者は、選手やチームがよくなってはじめて"よい仕事をした"と評価されます。理論、説明は一流だが選手が消化・吸収できないのでは成長もないし、よい結果は出せないでしょう。
特にプロの指導者は、ユース、トップ、サテライト、ジュニアなど各レベルによって求められるものは違いますが、選手がレベルアップしていることの証しとしての結果を常に出し続けなければならないと思います。これがプロの指導者に求められる要件です。

パーソナリティ
指導者にも様々な個性がありますが、特に必要とされるのはリーダーシップです。それを構成するものには、選手をまとめる力、カリスマ性、ポジティブな思考、魅力的な人間性などが挙げられます。これらの要素のうちどれを強く全面に打ち出すかにより、指導者の個性が形作られているのだと思います。世界的に優れていると評価されている監督を見渡してもいくつかのタイプに分けることができます。

専門知識
専門知識は指導者として選手、スタッフ等に説明をする上で重要であることは明らかです。本、ビデオ、研修会、ディスカッション、試合の分析等を通じて学んだことを専門知識として吸収するのです。幸いにも良質な経験を得るチャンスに恵まれた人にとって、そこで得たことというのは大きな財産になります。

指導能力
優秀な指導者になるために最も必要な能力です。
自らが持つ理論、知識を選手に理解・納得させて、選手が自主的に行動し、自分のものにできるようヒントを与えたり、選手が自分自身で考える力を育むことが指導者の役割であると考えます。最初から答えを教えるような指導法は、常に判断力を問われるサッカーのようなスポーツではいずれ行き詰まるでしょう。指導者には説明するだけでなく、選手を納得させる能力が必要です。それによって選手やチームがレベルアップして初めて"よい指導をした"といえるのです。心理状況も考えずに無理やり押し付けても、選手が吸収できるかどうかは疑問ですし、受け入れられない場合もあるでしょう。信頼関係を築く方法、選手から「教わりたい」と思われるような状況を作るテクニック、第三者を使って選手を変えていく方法など、指導者講習会ではなかなかカリキュラムされない、現場で最も大切な"指導能力"が求められます。全体練習を充実させ、わずかな違いや課題が抽出されるような状況設定ができれば、選手の反応も出やすくなり、よく観察することで対応法も整理されることでしょう。

これからも選手の能力を100%引き出し、世界に一歩でも近づき、ワールドカップトロフィーを手にする時まで、プロセスを楽しみながら選手と共に成長できるよう頑張ります。
2002/01/25
スポーツは人間づくりである
このレポートの感想を送る 一流のスポーツ選手は、一人の人間としても一流である。

選び抜かれた選手が出場する大会の決勝戦、オリンピックで勝てば金というような大一番において勝敗を分けるポイントは何だろう?99%勝利を手にしながらロスタイムに逆転されるといったケースは珍しいことではありません。目に見えない僅かな差が勝者と敗者を分けるものなのです。
一人の人間がスポーツを通して成長していく過程においての経験が、選手として、一人の人間として成長していく上で重要な位置を占めていると思います。選手一人の力で世界の頂点に立てるわけではありません。周囲の人たちの協力を得て世界一という一瞬の輝きを放つことができるのです。

しかし、その一瞬の出来事は次の一生の1ページへのスタートでもあると思います。常に人の話を聞き、人間として成長しようとする姿勢が大切だと思います。世界中の人々から愛されるサッカーは常に進化し続ける高い山です。それは人間づくりの為の経験、勉強の場でもあると思います。

日本サッカーでもドーハの悲劇があり、ジョフォールバルの歓喜がより大きなものになりました。

どんな優秀なスポーツ選手にも共通して言えることは、人間としても一流であることです。

最後の最後は人間力なのです。
2002/01/16
日仏合同サッカーメディカルシンポジウム
このレポートの感想を送る 1月12、13日 東京で日本とフランスのサッカーメディカルシンポジウムが開催されました。日本代表、フランス代表のチームドクターをはじめ、日本協会の医学委員会の先生方、ナショナルチームのスタッフ、トレーナーの方などメディカルにかかわる様々な方の参加があり、有意義なシンポジウムでした。具体的なひざ、足首、筋肉のケガの判断や治療、骨の中の状況をどう判断するかなど、専門的なレベルのレクチャーもあり、ほんの少しのメンテナンスの差がプレーに影響を与えるなど、トッププレーヤーにとってはこう言ったことのレベルアップは非常に喜ばしいものであると思います。

休んでいれば自然治癒するものであっても、積極的に治療すればその期間も短縮できます。そのことで1試合早く復帰できれば選手にとってもチームにとってもプラスになります。コスト(年俸)の高い選手が1試合休むことで観客の入りにも影響を与えるとすればチームの経営にかかわる大きな問題であると思います。Jリーグのチームでは、ドクター→PT(フィジオテラピスト)→トレーナー→フィジカルコーチという形で選手のケガから復帰まで、しっかりサポートできる体勢ができています。

子供の成長過程での様々なケガに対しては十分な診断と治療というものができていないのが現状です。スポーツをする子供の数に対して、スポーツドクターといわれる専門的な知識と経験がある先生が少ないからです。将来のある日本サッカーの宝物である子供たちがしっかりトレーニングし、しっかり治療したり、休んだりすることができる環境を地域ごとに作り上げることは、短期的な目標として実行していく必要があります。

このシンポジウムでは改めて地域におけるメディカルサポートの充実が重要であると考えさせられました。子供たちが安心して信頼できるドクターが将来を考えてアドバイスしてあげられる事で、子供の可能性を最大限に伸ばしてあげられると思います。多くの先生方がサッカー協会の医学委員会主催のシンポジウムや研修会への参加を期待します。
追記
Q. 何故、サッカー選手に足首のケガが多いの?
A. 足首はスポーツ一般には走るために使われます。
  サッカー特有の使い方として、キックやタックルといったプレーがあります。
  また、ボールの攻防での激しい局面での足首の使い方がケガの多い要因です。
2002/01/07
明けましておめでとうございます
このレポートの感想を送る 新年明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。

いよいよ2002年ワールドカップの年がやってきました。皆様と一緒に厳しいであろうワールドカップまでの道のりを楽しんでいきたいと思います。これからの一日一日の重みは過去に背負ったことのない大きなもので、少々の不安はありますが、その壁を乗り越える事で、また大きくなっていくのだと思います。

『高い目標に向かう過程に価値がある』

一日でも長くワールドカップを戦うことができれば、そこには大きな価値があり、自分自身にも日本サッカー界にも財産となって残ると考えています。いずれ、「ワールドカップトロフィーを手にするときが来る」。その時までの過程の1ページであり、人生のページの中ではほんの数ページです。しかしその1ページに何を描けるのか?なんとしても夢のような大きな一生記憶に残る画を描いてみたい。
頑張ります!