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ルヴァン杯
湘南Vは「育成型」の結実だ。スーパーなタレントがいない中、選手を育て、力を最大限に引き出した。曺監督のスタイルが正しい道だと証明できた結果だ。
特徴的なのは走行距離に現れる運動量。現在リーグでも1試合平均115・9キロメートルのトップ。決して高いとは言えない技術を補うために必要なものだ。技術は急にうまくならないが、運動量はブレない。ボールを持った時に相手に的を絞りづらくさせる。序盤から飛ばし気味に入ったが、試合のテンポを上げて、自らの土俵に持ち込み、横浜Mのエネルギーの余力を少なくした。MF松田の「交代の交代」もあった。もちろん全力でやっていたが、足りないように映ったのだろう。「できないことを求める」のではなく、「やれるのにしない」というのが許されないチームということだ。
ペナルティーエリアの中には入られていたが、シュートシーンで間合いをあけず、1人目がブロック、さらに2人目、というシーンが見られた。個ではなく、グループで守るスキのない守備は素晴らしかった。
育成に近道はない。積み重ねるしかない。得点を奪った杉岡もそうだが、現在、U―19アジア選手権にも、斉藤、石原を輩出している。戦力2人を欠いても、結果を出した。このタイトルは若いチームに自信を与える。(スポーツ報知評論家)
5月4日 J1川崎―仙台@等々力
強風の影響があって、集中力が低下しがちな試合で、川崎は本来の繊細なパス回しができなかった。その中で大島はミスが少なく、シュートも積極的に狙った。システム変更にも柔軟に対応し、効果的な仕事をした
4月24日 J1鹿島―柏@カシマ
攻守の切り替えが速い両チームの対戦は、非常に見応えがあった。柏は守備の時は4バック、攻撃では3バックに変え柔軟な戦術を取った。下平監督が選手の特徴をよく理解して、選手の良い部分を生かすことで弱点を補おうとする姿勢が感じられた。鹿島のカイオに伊東ではなく、守備に定評のある鎌田を付かせた点もそう。チームマネジメントがうまくいっており、質が上がってきている(スポーツ報知評論家)
4月15日 リオデジャネイロ五輪組み合わせ決定を受け
決勝トーナメント進出を考えると、1次リーグは最低でも勝ち点4、いや、おそらく5か6は必要になる。大会を占う意味では初戦のナイジェリア戦の入り方、そこでの勝ち点が重要になる。5月には準備試合としてガーナのA代表との試合を行う。そこでアフリカ選手独特のバネ、リーチ、ボールタッチの柔軟性、球際の違いを感じ取ることができる。大きな一戦になる。
1位突破すれば、第3戦のスウェーデン戦を行ったサルバドルに残って、A組2位と準々決勝を戦うことができ、移動の負担は減る。2位突破なら、準々決勝で戦うA組1位はブラジルが予想される。それを考えると、1位抜けがコンディション、対戦相手を見ても圧倒的に有利なのは間違いない。
日本は前回のロンドン五輪でベスト4。今回、強敵を乗り越えて成長し、メダルという期待ができる組に入った。手倉森監督は「リオ経由ロシア行き」と常々話している。レベルの高い組に入ったのは、選手が成長するビッグチャンスだ。
(スポーツ報知評論家)
9月8日 ロシアW杯アジア2次予選 アフガニスタン 0―6 日本
原口は初先発で十分な存在感を見せた。ゴールはならなかったが、ドリブルで積極的な仕掛けを見せ、アクセントになった。この日の動きで23人の1人だった男がレギュラー争いできるまでの立ち位置に変わったといっていい。
原口と2列目を争う宇佐美、武藤もドリブルに特徴がある。細かく分けると、原口は力強さ、宇佐美は繊細なボールタッチがベースのうまさ、武藤はスピードとそれぞれ違いがある。良質なピッチがあるJリーグで結果を出してきた宇佐美、武藤と違って、ドイツで1年半もまれた男は経験を重ね、この日のような深く、デコボコのピッチでもゴリゴリ進んでいくようなパワフルなドリブルが磨かれた。こうした個性を持った選手が試合で存在感を見せたのは、ハリル・ジャパンには好材料だ。他の選手との競争の舞台に上がった。
ドリブルの力はあるが、その後のパスの精度、動きの質を高めることは課題だ。今はドリブルにエネルギーを使いすぎ、パスの精度が低く、アクションを起こせていない。そこが改善すれば点も取れるし、世界に通用する選手になれるポテンシャルを秘めている。
9月3日 ロシアW杯アジア2次予選 日本 3―0 カンボジア
パーフェクトではないが一歩前進という勝利だった。チャンスがあっただけにもっと得点が決まればよかったが、個々のコンディションにばらつきがあり、割り引いて考えるべきだ。同じ海外組でもドイツ勢は所属クラブで目いっぱいプレーしてきた。特に武藤は帰国して戦うのは今回が初体験。シュートなど精度が落ちるのも仕方ない。
選手たちが生真面目に監督の指示を守るという指摘もあるが、自分で判断する本田と責任を背負い過ぎる香川とは性格が違う。指揮官のマネジメント力の見せどころでもあるが、アフガニスタン戦は良くなる兆しもある。
香川は1点取ったことで肩の荷が下りるだろう。ストレスをかけ過ぎることもよくない。彼はもっと楽しくプレーすれば持ち味が出る。勝ったことでハリルホジッチ監督の采配にも余裕が生まれるはず。後半に2トップに近い形を試したのは日本人の特徴が分かってきた証拠だ。
次戦に向けては、いかに体調を整えるか。本田も試合後に話していたが、欧州から帰国して、さらに中東に行く。その時差対策ができるかどうか。この点では日本は経験値が高い。スタッフ力で勝負すれば解消できる課題のはずだ。
8月20日 J1第2S第8節 柏 2―0 松本
柏は大谷、武富、茨田のバランスがよく、中盤でゲームを作れる。3トップと中盤から1人が絡むことで相手にマークをつかみづらい状況を作った。今日のようにグループでボールを支配して相手を動かせると、やられることはない。ACLの広州恒大戦では中盤の3人が攻撃にうまく絡めることができれば、柏のペース。最終ラインに引っ張られて守備に追われると相手のペースになる。中盤の3人がカギを握るだろう
8月16日 J1第2S第7節 鹿島 3―2 仙台
鹿島は勝ち点を取るためのサッカーが石井監督になってから徹底されている。ペナルティーエリア内に侵入する数も、そこからのシュートも仙台の5倍以上あった。点差こそ僅差だったが、シュートの形、数を見れば圧倒していた。逆転するのは必然だったと言える。地力があるから逆転までもってこられる。鹿島には本当の強さがある
8月12日 J1第2S第6節 広島 0―1 鹿島
鹿島は球際も厳しく、中盤でコンパクトにし、前を向かせず、圧倒的な攻撃力を持つ
広島を封じた。石井監督になり、守備の原則が整理され、ポゼッションする相手に対して良さを出させなかった。チーム全体での競争意識も感じられる。広島をストップしての3連勝は自信になる。第2ステージのV争いに間違いなく食い込んでくるチームだ
8月9日 イングランド・プレミアリーグ レスター 4―2 サンダーランド
岡崎はデビュー戦で評価を上げた。攻守にバランスよく、チームのために仕事でき
るクレバーさがあった。最後まで運動量も落ちなかった。2トップと攻撃的MFの4人で交代しなかったのは1人だけ。そこでも評価されていることがわかる。
ヒールパスで味方のシュートを引き出した場面もあったが、周りと絡みながら意外性のあるプレーをできる唯一の選手だった。ボールのない所の動きも両チームを通じてNO1。スプリントなどでいい動きはできていたが、そこにボールがいいタイミングで入ってこなかった。
守備では相手のボランチをケアし、敵にボールが渡った時の1番目のDFとしてここぞというところでボールを追い込んでいくうまさもみせた。あとはFWだけに、やはりゴールという結果が欲しい。だが、開幕戦の動きを続けていけばゴールが奪えるはずだ。
高いレベルでマンチェスターC、マンチェスターU、アーセナル、チェルシーなどとやれることはプラス。岡崎自身が成長していくチャンスがある。ひいてはそれが日本代表にとってもプラスになる。